虹の渡し舟

「虹の渡し舟」

あらすじ

昔々、庄屋の長男の忠七は、ある日、虹が立つ川岸にやってきた。すると、虹が美しい娘の姿に変わり、忠七をきらびやかな船で対岸へと渡した。娘の名は虹姫で、天女だった。

忠七は虹姫に一目惚れし、一緒に暮らしたいと願った。虹姫も忠七に心惹かれ、二人は結ばれた。しかし、虹姫は天女のため、一年に一度しか地上に降りてくることができなかった。

二人に男の子が生まれたが、忠七は虹姫が訪れない寂しさから酒に溺れ、周囲に迷惑をかけるようになった。それでも虹姫は忠七を愛していたため、毎年彼のもとへ駆けつけていた。

ある年、忠七は虹姫が去った後に酒を飲み、川に落ちてしまった。溺れかけた忠七は、虹姫が川面に虹を架け、それに乗って助かった。だが、忠七は虹姫との別れを告げられ、以後、二度と虹姫に会うことはできなかった。

登場人物

  • 忠七:庄屋の長男。虹姫と恋に落ちる。
  • 虹姫:天女で、虹と化した娘。忠七と結婚する。
  • 忠七の息子:忠七と虹姫の間に生まれた男の子。
  • 村人:忠七の周囲の人々。

テーマ

  • 愛と別れ:忠七と虹姫の切なくも美しい愛と、彼らを引き裂く運命。
  • 約束の大切さ:虹姫は一年に一度しか地上に降りないという約束を守っていた。
  • 過ちの結果:忠七の酒癖の悪さが、彼と虹姫の関係を壊すこととなった。
  • 運命の受容:忠七は最終的に虹姫との別れを受け入れる。

備考

  • この話は、日本各地に伝わる「虹伝説」の一つを基にしている。
  • 「虹の渡し舟」という題名は、まんが日本昔ばなしのアニメ化作品で付けられたもので、原作では「虹の女房」というタイトルになっている。